医療法人すみれ会 今井クリニック

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今井クリニック

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On-line HDF治療

当院の診療理念とOn-line HDFへの想い

開院当初よりOn-line HDFを希望患者さんに施行してきたのは「本来の腎臓機能には程遠いかもしれないが少しでも近づけられる透析をしたい」という想いから取り組んできました。予後の延長・ADLの改善・合併症出現の遅延など様々な研究報告があるように長期に及ぶOn-line HDFには優位性が秘められていると考えています。
そして私達のもう一つの理由として「より良い治療を」・「やりがい」などそれぞれの想いがあります。
HDFでしか対応できない症例もあるなかで必要とされる方に隔てなく提供できる設備を整えています。

On-line HDFとは?

On-line HDFを説明する前に各血液浄化法の種類と仕組みから説明します。
血液透析(HD)と血液濾過(HF)を同時に併用した血液浄化療法を血液透析濾過(HDF)と言います。

血液透析(HD)

透析膜を介して血液と透析液を接触させ『拡散』という原理を用いて血液中の尿毒物質除去や電解質の補正を同時に行います。
BUN・Cre(分子量60・113)など小分子量物質(分子量500以下)の除去は優れていますが蛋白結合性尿毒物質と呼ばれるものやα1-MG(分子量33,000)領域の物質などは拡散能が下がるため除去効率が下がります。分子量が大きくなれば拡散による除去効率が下がるのが一般的です。

血液濾過(HF)

ダイアライザーに透析液を流さずにチャンバへ置換液(透析液に似た組成)を入れます。
チャンバに入れた分はダイアライザーから『限外濾過』という原理を用いて濾過液として排液します(図1参照)。
A側を押す(陽圧)かB側を引っ張る(陰圧)かどちらかを行うことで溶液は透析膜(半透膜)を透過します。
さてここで、透析膜には細孔と呼ばれる穴が様々な大きさで存在しますが、前述した『拡散』という原理だけではなく『限外濾過』の原理でもこの細孔を物質が通過していきます。物質の大きさも様々ですので通過できる物質もあればできない物質もあり、分子量が大きくなるほど除去効率が低下します。

『限外濾過』という原理は細孔を通過できる物質であれば分子量の大きさに関わらす濾過液といっしょに除去できるのでα1-MG(分子量33,000)領域の物質除去は『拡散』よりも優れています。
しかし血液透析(HD)のようにダイアライザーに透析液が流れていないので小分子量物質の除去効率は低下します。

血液透析濾過(HDF)

血液透析(HD)と血液濾過(HF)を同時に行う方法で双方の短所を補う血液浄化療法です。置換液を6~14L使用し(当院の置換液量)、チャンバに置換液を入れた分はダイアライザーから同じ分だけ除水を行います。こうすることによってダイアライザーから大量に除水を行うことができるので、この中に含まれている尿毒物質は濾過液と一緒に体の外に出せるということです。また置換液を入れた分は除水を行うので体重誤差が生じることはありません。また血液濾過(HF)とはちがいダイアライザーには透析液が流れているので小分子物質の除去も十分に行えます。図のように置換液量は目的に応じて調整することが可能です。置換液はバッグやボトルに入っているのでバッグ(ボトル)型HDFとも呼ばれます。また後述するOn-line HDFに対してバッグ(ボトル)型HDF=Off-line HDFとも呼ばれます。

On-line HDF(オンラインHDF)の種類

高度に清浄化した透析液を置換液として透析液ラインから分岐させて用いる方法です。ダイアライザー内で起こる物質除去の原理はバッグ(ボトル)型HDF=Off-line HDFと同じですが『前希釈法』と『後希釈法』から選択でき、またいくつか違いがあります。

  • バッグ(ボトル)型HDF=Off-line HDFは置換液に使用するものはバッグ式ですので置換量に限界があります(1本2Lのバッグを使用し20L置換液量を準備するとなると10本必要:バッグを吊るす専用透析装置が必要となり、また置換液は製薬会社から購入して準備を行う。限られた方にしか実施ができないのが現状)。
  • バッグ(ボトル)型HDF=Off-line HDFでは物質除去効率の面から『後希釈法』の選択しかできませんが、On-line HDFでは自施設で高度に清浄化した透析液を透析装置内部から分岐させて使用するので置換液量の調節幅が広くなり『前希釈法』・『後希釈法』どちらも選択できます。

前希釈法の特徴

ヘモダイアフィルターの前で透析液で血液を希釈(置換)しているのでヘモダイアフィルター内部で血液濃縮が起こりづらく、血球成分への影響も少ないため生体適合性も良いと考えられています。また血液流量が低い患者さんは後希釈法を用いると血液濃縮が起こって凝固に至り、治療が困難になることもありますが、前希釈法ではヘモダイアフィルター前で希釈しているので血液濃縮が起こりづらく高血液流量でなくとも実施できます。
一方では、ヘモダイアフィルター前で血液を希釈しているので血液内の尿毒素濃度が低下してしまい拡散能が下がることによって小分子物質の除去効率が若干低下してしまいますが、除去効率がやや緩やかになることで透析中の血圧が安定する方もおられます。
中分子量~大分子量物質の除去は、希釈(置換)量の増加に伴い除去効率も増加し、透析掻痒症・レストレスレッグス症候群・いらいら感などの症状の改善に効果があることが分かっています。また合併症を改善、進行を遅らせる、合併症がない方でも今後の発症を予防することが期待できます。当院では、血液検査等で患者さんの栄養状態を確認し、個々の患者さんのアルブミン損失をコントロールするため、ヘモダイアフィルターや希釈(置換)量を調整し、1回の治療での希釈(置換)量を30~75Lとして安全面を考慮しながら施行しています。

後希釈法の特徴

ヘモダイアフィルターの後で透析液で血液を希釈(置換)しているので、置換液量が多すぎる場合や患者さんの除水が多い場合、血液流量が低い場合では血液濃縮が起こることがあります。血液濃縮が起こるとヘモダイアフィルター内の透析膜が凝固してしまい治療継続が困難になるケースもあり、アルブミンが抜けすぎる心配も出てきます。
一方では、同じ希釈(置換)量であれば、小分子~大分子物質の除去は前希釈法よりも後希釈法の方が効率が良く、骨関節痛を改善するなどの効果があることが分かっています。

I-HDF(間欠補充型HDF)法

前希釈法や後希釈法のように補液回路を使用せず、透析液を任意の時間間隔・量で間欠的に補充し、補充された透析液分は自動で除水されます。
実際の方法としては30分毎に100~200mlの透析液をヘモダイアフィルター内へ直接補充します。主に期待される効果として血圧低下が生じにくくなること、また付加される利点として透析膜の劣化を回復させ透析効率が良くなることも挙げられます。
補液回路を必要としないためコストを節約できる治療法ですが、必ずしも透析中の血圧安定に結び付かない場合があり、当院では中心的な治療とはなっていません。しかしオンラインHDF前希釈法で透析中血圧が不安定な患者さんに補液量や間隔をいろいろ工夫してうまくいく場合には施行しています。

当院のOn-line HDF

上記に説明した理由により、多数の患者さんに前希釈法を用いたOn-line HDFを施行し、一部の患者さんにI-HDFを施行しています。
また、患者さんの状態によっては後希釈法を考慮いたします。

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※受付職員の勤務時間外にお急ぎの場合は、留守番電話で案内しています透析室直通電話にお願いします。

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